40章: INPADOCとJapatic – 開拓期

Japaticは、特許情報の問題やデータ交換活動を政府から受託されていたため、Japaticを介したINPADOCとJPOとの間のデータ交換の合意は、INPADOCとJapatic、そしてその後のJapioとの長期的かつ実りの多い協力の出発点となった。

1972年末までに、INPADOCは各国特許庁との間で同様の協力協定を積極的に締結し、成功を収めていた。1972年12月にはすでに、INPADOCはソ連の発明発見委員会、チェコスロバキア、ドイツ民主共和国、そして当時の東側社会主義国の6カ国とデータ交換の合意を締結したことをJPOに(間接的にはJapaticにも)通知することができた。また、オーストリアとドイツ連邦共和国、また同様に米国も、遅くとも1973年の間にデータを交換することに合意していた。このように各国特許庁とのデータ取得の契約が急速に成功したことで、INPADOCは政府当局からの認知度を高めていった。

1970年代に自動化技術が発展し、知的財産権の分野でより多くのデータが利用できるようになったことで、JapaticとINPADOCのさらなる協力関係を深めるための基盤がすぐに見出された。1974年には、両機関がそれぞれの製品やサービスの代理店として相互に機能することを定めた、地域における相互代理店に関する協定が締結された。このような状況の中で、INPADOCのデータに基づいたサービスは、1975年以降、Japaticにより提供されてきた。当初からJapaticは、パテントファミリー、分類、発明者に関する個別の依頼(いわゆる、ウォッチング業務を含む)だけでなく、マイクロフィルム、マイクロフィッシュ、コピーに関する情報も含めたすべてのサービスにおいて、INPADOCの代理を務める権限を与えられていた。1977年以前は、パテントファミリー、発明者、特許分類サービスに関する情報を得るためには、通常、個別に書面または電話で情報を要求した後に、テレックスを介して情報を伝達する必要があった。その後、自動化の進展に伴い、より利用しやすい情報収集方法が開発され、最終的にはユーザー自身が直接データベースにアクセスできるようになった。

両組織の運営初期には、データコレクションの総数と内容を強化し、品質とデータの詳細を向上させることに注力した。この点については、1974年から1976年にかけて、各機関が利用可能な1970年以前のデータを相互に交換し、また、日本で利用可能な、発明者名、出願人名、発明の名称の3つのタグにカタカナデータを追加することにより、日本の10個の書誌データ(いわゆる書誌事項1~10)の提供を充実させるための協定が締結された。さらに、両当事者は、米国のデータだけでなく、他国のデータについても、完全な年次コレクションデータを追加するか、あるいは欠落したデータ要素のみを追加することで、年次コレクションを拡大しようとしていた。例えば、INPADOCが既に入手している、ドイツ、フランスなどの欧州諸国の同様の原語データと引き換えに、追加の3つのカタカナデータタグ(いわゆる書誌事項11~13)を継続的に交換することが合意されていた。

1977年末に議論された、JPOとINPADOCとの基本合意の延長では、JPOが配信したデータを、INPADOCがJPOに再提供することにより、データ詳細の充実を見込んでいた。13項目全ての書誌事項(出願人名、発明者名、発明の名称を含む)をカタカナデータでINPADOCに配信し、その後、入手可能になり次第、英語でも配信することが合意されていた。その見返りとして、INPADOCは、INPADOCに情報を提供した全ての特許機関の13項目全ての書誌事項データを含む、いわゆる拡張データテープをJPOに提供した。また、初めて実用新案データの提供についても議論された。後年、これらのデータは、INPADOCデータベースでアクセス可能な日本の特許情報データの重要な一部となった。

前述の通り、初期段階では、INPADOCのデータをJPOの公務に利用することに加えて、Japaticも日本の顧客への個別情報サービスの提供に利用することが合意されていたが、その際には、INPADOCにデータ利用の対価を支払うことを条件としていた。両機関の立ち上げ初期の段階では、主要な業務を超えた商業活動の余地はほとんどなかったので、実用的な価値は事実上、取るに足りないものであった。しかし、機関の活動範囲の拡大に伴い、JapaticとINPADOCの両機関が商業活動を行う余地が増え、それぞれの地域における特許情報の提供において相互に深いパートナーシップを築くようになった。

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