54章: 初期における三国間協力の開発
1983年10月にワシントンで開催された第1回三極会合を皮切りに、20年以上にわたって三国間レベルでの協力関係が長く続き、成功を収めた。
最初の2回の会合では、すでに以下のようなプロジェクトが合意されていた。
– プロジェクト1:特許出願処理
– プロジェクト2:特許バックファイルの変換
– プロジェクト3:文字コード規格
– プロジェクト4:画像コードの規格
– プロジェクト5:化学データの標準化
– プロジェクト6:自動検索技術
– プロジェクト7: 特許分類体系の相関関係
– プロジェクト8:特許検索結果の交換
– プロジェクト9:統計情報の交換
– プロジェクト10:特許情報配信ガイドライン
– プロジェクト11:知的財産システムの役割
後年になって、特許実務の調和、自動翻訳、自動検索などのテーマが三極会合の議題に加わり、それ以降、定期的に開催されるようになった。
1983年10月19日に開催された最初の三極会合の締めくくりとして署名された覚書では、三国間協力の最初の、そしてすぐに達成できる成果として、三極特許庁間で磁気テープによる「電子」情報を交換することが合意された。これに関連して、EPOはファミリー(FAMI)、インベントリ(INVE)、分類(ECLA)の各システムを日本国特許庁とUSPTOに提供することに合意したが、その際に交換されたデータは、二つの特許庁の内部でのみ使用することが制限されていた。その見返りとして、EPOは日本の特許明細書の英文抄録と1970年以降に発行された米国特許文献の全文を収録した磁気テープを、同じく内部利用に限定して受け取ることが合意された。EPOの3つの内部データベースへのアクセスを三国間レベルでも提供しようとするこの試みは、例えば先に述べたEUROPATIC解決策で説明されているような、欧州における一般的な情報政策の展開に沿ったものと理解することができる。また、各国特許庁のデータの利用に関する全般的なトピックや、これらのデータへのアクセスを外部に提供するための規則の策定に関する問題は、三国間レベルでは当初から非常に重要なテーマであった。EUROPATIC解決策における三極政策と、普及政策のアプローチとの関連での意思決定はほぼ並行して行われ、EPO内部でより広範な情報普及政策の定義の策定に貢献したと思われる。この政策は、欧州の枠組みだけでなく、国際レベルでも適用することができ、すべてのレベルでこの政策を実施する際に起こりうる矛盾を広く排除することができた。
会合終了後、すぐにデータ交換による協力が開始されたことで、三極特許庁が交換されたデータセットを使用して、日々の検索や審査業務において初期の早い段階で役立つことになった。
EPOでは、データファイルの受領後すぐにコンピューターシステムに読み込まれ、審査官がUSPTOとEPOの統合検索インベントリでオンライン検索を行うことができるようになり、検索プロセスの効率と審査の精度が向上した。さらに、日本国特許庁から送られてきたデータファイルをもとに、日本の特許出願の英文抄録5万件を収録したデータベースの全文検索をテストした。
これらのプロジェクトに基づき、1984年10月14日、15日にミュンヘンで開催された第2回三極会合では、三極プロジェクト番号10として、特許情報の普及というテーマが高い重要性を持ち、この会合において当該テーマの最初の成果が各国特許庁の間で認められた。その成果は主に、特許庁の内部使用のための特許情報およびデータファイルの交換と、これらの交換に関連して承認されるべき基準に関するものだった。ここで重要なのは、すでに第2回三極会合において、特許情報の普及に関する三極ガイドラインの第1版が合意されていたという事実である。これが1980年代のやや保守的な姿勢から、2000年代の世界的な特許情報の普及に関する非常にリベラルな試みに至るまでの約20年間にわたり、三国間レベルで特許情報の普及政策をさらに発展させるための出発点となった。
情報発信に関するプロジェクト10の枠内では、1984年の第2回三極会合の際に、参加特許庁の特許図書館やその他の施設を通じて、各特許庁が記録したデータと三極交換スキームを通じて受信したデータの両方を公開することがすでに合意されていた。この基本合意は、1985年の第3回三極会合でさらに拡大され、例えば欧州では三極協定に基づいて相互に交換されたデータを、加盟国の特許庁だけでなく、欧州の特許図書館でも利用できるようにした。もちろん、他の2つの特許庁でもそれぞれの国の事情に合わせて同様の試みが行われていた。
第2回三極会合では、情報普及の分野での進展に加えて、さらなる協力の可能性のある分野を確認した。第1回三極会合の交流プログラムに加えて、第2回会合では、議論するテーマの範囲を電子データ処理への移行のみに限定せず、特許付与レベルでの三極特許庁の運用全体に関するすべてのテーマに広げることを合意した。
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