アメリカ特許法改正の概要

アメリカ特許法改正についてその要点

アメリカ特許法の改正案がアメリカ議会を通過しました。この改正のもっとも大きな改正点は、これまでの先発明主義(先に発明した方に権利が与えられる)から先出願主義(先に出願した方に権利が与えられる)に移行したという点です。そのほか、第3者情報提供の改正など、主な改正点をまとめてみました。

1. 先発明主義から先出願主義へ
新規性及び特許を受ける権利を失うのは、「発明の前に」ではなく「有効出願日の前に」公知例があった場合になります。日本の特許法29条の二に相当する考え方が加わりました。
「有効出願日」=その特許出願の出願日または、優先権主張出願、仮出願、国内移行出願、国際出願、120条継続出願、121条(分割出願)、国際出願の継続出願の出願日。
例外として、発明者か共同発明者により開示され、それから1年以内に出願されていれば、その出願は、先行した開示に基づいて拒絶されることはないという規定があります。

2. 第3者による情報提供に関する条文の修正
第3者による情報提供可能期間が長くなり(改正前:公開後2か月→改正後:公開後6か月または132条の最初に拒絶日)、提供資料とクレームの関連を説明できるようになりました。

3. 発明者でなくても出願人になれる
これまで原則出願人は発明者でしたが、発明者以外が出願人となれるようになりました。ただし、冒認出願防止ための強化が行われました。

4. 登録後レヴュー
付与後異議制度のような登録後異議申立制度で、登録後9か月以内なら申し立てることができます。

発効日
大統領が署名してから18か月後。
有効出願日が発効日またはそれ以降である場合は改正法が適用されます。

参考文献
服部健一.「最近の米国特許事情 ハイブリッド米国特許法改革案及び最近の重要判決(特許法改革を推進)」.日本大学法学部三崎町キャンパス,2011年9月13日,日本大学法学部.